(2020/5/13 05:00)
株主総会開催日の集中を回避し、株主への説明責任や意見拝聴をより充実させるきっかけとなるよう、工夫を凝らしてもらいたい。
新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、多くの企業が株主総会への対応に直面している。感染予防として、密閉・密集・密接の「3密」を避ける対応が求められており、例年数百、数千人規模の株主が集まるような総会の開催は困難になると見られている。
経済産業省は株主総会運営に関するQ&Aを公表した。株主に来場を控えるよう呼びかけることを「可能」としている他、入場できる株主の人数を制限したり、出席者なしでも可能としたりした。また、インターネットを活用した株主総会の実施ガイドを策定し、公表している。
22日に株主総会を開催するイオンは、事前に株主に来場自粛を強く勧めるとともに、定員を100名に限定し、定員を超える場合は抽選で参加者を決定するという。また、今回初めて総会をインターネットでライブ中継する。
感染症による緊急対応ではあるが、今年の株主総会でネット活用を模索する企業が増えることが予想される。もちろん経営に課題を抱える企業が、感染症を言い訳に株主を参加させずに総会を開催するような対応は許されないが、ネット活用は今年限りとせず、今後の株主との対話の有効手段と位置付けるべきだ。
ネットの活用で、遠隔地に居住し従来なら総会参加が困難な株主が、参加する環境を得られるのは、株主権利の公平性を担保する上でも有効だ。議決権をネットで行使できれば、企業側の事務負担も軽減できる。
企業側にはネット配信の映像が外部流出するのを懸念する声もある。また、ITスキルに乏しい株主への配慮も必要だろう。企業ごとに株主構成はさまざまであり、自社にとって適切な総会のあり方は各社が考えるべきことだ。企業にとって株主との対話の充実は責務だ。コロナ禍を機会に、さまざまな工夫を考えてもらいたい。
(2020/5/13 05:00)
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