(2020/5/19 05:00)
経営破綻が上場企業に波及するなど、新型コロナウイルスの感染拡大が日本経済に与える影響は深刻の度を増している。政府は第2次補正予算の編成を急ぎ、事業と雇用の維持に全力をあげてもらいたい。
内閣府が18日に発表した2020年1―3月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、前期(19年10―12月)比0・9%減、年率換算で3・4%減と、2四半期連続でマイナス成長になった。GDPの過半を占める個人消費が、外出自粛などで前期比0・7%減となったほか、住宅投資が同4・5%減、設備投資が同0・5%減とそろって減少した。
輸出も同6・0%減と大幅に落ち込んだ。海外諸国でロックダウン(都市封鎖)が拡大して海外需要が大幅に減少し、自動車、電機などの製造業が影響を受けた。またサービス輸出にカウントされる訪日外国人によるインバウンド消費が激減して輸出減少を大きくした。
1―3月期GDPは各国で大幅に悪化した。中国は前年同期比6・8%減と把握可能な1992年以降で初のマイナス成長。米国は年率換算4・8%のマイナスで08年10―12月期以来の落ち込み。ユーロ圏も同14・4%減と95年の統計開始以来、最大の落ち込みとなった。
日本では外出自粛は解消される方向にあるが、営業休止の長期化で内需の落ち込みが続いているうえ、輸出は上向く気配がない。4―6月期GDPは年率換算で20%を超す記録的な悪化が予想される。リーマン・ショック後の09年1―3月期のマイナス17・8%以上の落ち込みで戦後最悪となる可能性もある。
政府は事業規模117兆円、予算規模25・7兆円と過去最大の補正予算を成立させたのに続き、第2次補正予算の編成作業に着手した。中小企業の手元資金は、平均2カ月程度と言われており、すでに資金ショートに直面する企業も多い。上場企業でもレナウンが民事再生手続きに入った。国の財政支出は空前の規模となるが、今は企業と雇用を守り、日本経済を支えることが最優先だ。
(2020/5/19 05:00)
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