(2020/5/21 05:00)
夏の全国高校野球選手権大会の中止が決まった。春の選抜に続き夏もとなり、甲子園を目指す球児たちの気持ちを考えると心が痛む。新型コロナウイルス感染による緊急事態宣言が続く地域があるなかで、練習や予選大会の日程を考えれば致し方ないが、人生をかけて取り組んでいた選手も少なくないだろう。
インターハイや全日本吹奏楽コンクールなど、多くの大会や競技会も中止となった。それまで打ち込んでいた成果を示せないまま涙をながしている高校3年生は多い。
今年の高3生は、新たな大学入学共通テストでも英語の民間試験活用の見送りや国語と数学の記述式問題が撤回されるなどで、振り回されている世代だ。9月入学問題の行方にも気をもんでいるだろう。そもそも入試がいつになるかも見通せない。
「この経験を糧に」というだけでは生徒たちの気持ちに添えない。なぜ開催できないのか、開催へ最大限努力をしたのか、主催者団体は丁寧に説明をすべきだ。それが中止や方針変更を決定した大人の責任だ。
コロナ禍で大切な家族や友を失った人、仕事を失った人、人生の節目を台無しにされた人―心に痛手を負う人々が世界中にたくさんいる。コロナの収束を心から望みたい。
(2020/5/21 05:00)