(2020/5/25 05:00)
新型コロナウイルス感染が引き起こした経済停滞で、モノづくりを担う中堅・中小企業が大きな傷を負っている。独自の技術や技能を持つ企業を失えば、日本経済の復興にも打撃が大きい。融資だけでなく、さまざまな支援メニューが必要だ。
世界経済が急激に縮小するなかで、自動車や機械、鉄鋼、化学など日本の主要産業の業績が悪化している。大手とともにサプライチェーンを形成する中堅・中小企業も、「受注がぱったり止まった」「休業を余儀なくされている」など直撃を受けている。このまま資金繰りに窮すれば、廃業に追い込まれたり、外資に安値で買いたたかれたりといった事態も想定される。
政府は第2次補正予算案編成で、実質無利子・無担保融資の大幅拡充とともに、借入金の一部を自己資本とみなせる「資本性ローン」や、支払いの優先順位の低い「劣後ローン」、地域経済活性化支援機構と地域金融機関による危機対応ファンドを創設し、経営が悪化した中堅・中小企業に資本制資金を供給する仕組みなどを検討している。
自民党は資本制資金を含め「少なくとも10兆円を超える規模」を求めている。また、より長期の対応策として返済期限が設定されない「永久劣後ローン」を求める声もある。
日銀が臨時の金融政策決定会合で、中小企業の資金繰りを支援する30兆円規模の新たな資金供給策を表明した。地域金融機関が貸し出しを増やせば、金融機関の日銀当座預金に金利を付与する異例の優遇策だ。金融機関は精力的に取引先中小の要望を聞き、状況に応じた支援メニューを提供してもらいたい。
一部に「生産性の低い中小企業は救うべきではない」、という意見もある。しかしコロナ禍は、いきなり崖から突き落とされた災難で、瀕死の企業がたくさんいる。経済活動が本格的に回復すれば、デジタル対応や生産性改革など、自己変革に取り組む企業に支援を集中するフェーズも来るだろうが、今はまだその段階ではない。1社でも多くの企業が生き残れるよう、全力を挙げて支えてもらいたい。
(2020/5/25 05:00)
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