(2020/6/3 05:00)
緊急事態宣言解除後も観光需要の回復は鈍く、多くの宿泊業者は厳しい経営を余儀なくされそうだ。国や自治体の支援制度で急場をしのぎながら「安心・安全」が魅力になるようビジネスモデルを再構築したい。
政府の2020年度第1次補正予算は国内観光の需要喚起策に1兆6794億円を投じた。加えて運休航空路線の再開を後押しする大型の共同広告など「訪日外国人旅行客の需要回復のためのプロモーション」(96億円)も投入するなど、地方経済の再興策として観光業に寄せる期待は大きい。
需要喚起策が予算の大部分を占めるが、事業継続のカギになる公衆衛生対策への支援をもっと手厚くすべきだ。具体的にはチェックイン時などの体調確認機器や客室風呂の設置、団体旅行客の受け入れ方法や食事のビュッフェ形式の見直し、高機能な換気設備の導入などを講じる必要がある。そのための新たな設備投資や維持費への支援が求められる。
こうした対策を講じなければ、国内の観光客から安心感を得られない。また、訪日客の受け入れが本格化すれば、地元住民とのあつれきが生じかねない。
熊本県観光協会連絡会議が4月末に全国の消費者を対象に行った意識調査(有効回答数3247人)によると、自分が居住する地域への訪日客の受け入れに抵抗感のある人は5割強を占めている。
当面の需要回復をけん引する日本人客の見通しも不透明だ。調査では1年後の変化について、3割強が「出張、旅行とも減少する」とみている。さらに在宅勤務やリモートワークの導入が広がる中で、ビジネス需要の構造変化が加速し、長期的に減少する可能性もある。
旅行スタイルそのものの変容も予想される。柔軟な休暇取得が進めば、旅行の時期が分散し、家族や友人など少人数の旅行が主流になるかもしれない。宿泊業者はコロナ収束後を見据え、多様なニーズに対応できるよう、新たな観光資源や高付加価値が見込めるプログラムの開発も進めておきたい。
(2020/6/3 05:00)
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