(2020/6/9 05:00)
投資にまつわる格言は多い。日本証券業協会のウェブサイトには、江戸時代の米相場から現在まで、さまざまな格言が紹介されている。
最も有名なのは「人の行く裏に道あり花の山」―上昇している企業の株に付和雷同で買いに入るより、別のものを狙えというものだ。「もうはまだなり まだはもうなり」は、株の売り時、買い時の難しさを表している。
8日の日経平均株価は、約3カ月半ぶりに2万3000円台を回復した。米国株が雇用環境の改善を好感して大幅上昇したことを受け、日本株にも買いが入った。国内の足元の経済関係の統計数値は改善していないものの、先行きに明るさが見えるということのようだ。
最近の株価上昇には、各国の中央銀行による金融政策効果も大きい。当面は国が買い支えてくれるから、追随しても安心と多くの投資家が考えていても不思議ではない。格言にある裏道より、みんなで通る道を選ぼうというわけだ。
株式市場が国の施策で左右されるのは、ある意味異常事態だ。「相場は相場に聞け」―市場が正常化すれば投資家が本来の目利き力を取り戻すタイミングも来よう。それまでは「売るべし 買うべし 休むべし」を決め込むのもいいかもしれない。
(2020/6/9 05:00)