(2020/6/11 05:00)
5月の「景気ウオッチャー調査」で、現状を3カ月前と比べた街角景気の判断指数が前月から7・6ポイント上昇の15・5と4カ月ぶりに改善した。コンビニ店主、タクシー運転手など景気に敏感な人を対象とした調査のため、経済活動が動き出したことを示している。
調査は緊急事態宣言の全面解除後に行われたため、営業を開始した飲食やサービス関連で改善が目立つ。さらに2―3カ月先の景気の先行き判断は20ポイント近い過去最大の上昇幅となっており、景気回復への期待は大きい。
こうした明るさの半面、世界銀行が公表した2020年の世界全体の経済成長率は前年比5・2%減と第2次世界大戦後、最悪の予測となった。新型コロナウイルスの感染拡大が途上国で深刻化するなど収束が見通せないのが要因。
欧米で生産活動の再開が始まったが、米国で人種差別反対のデモが広がりを見せ、欧州や南米にも拡大するなど、新たな経済不安定要素も顕在化している。
日本ではコロナ対策費を盛り込んだ第2次補正予算案の国会審議が行われ、12日にも成立の見込み。景気ウオッチャーの先行きの明るさを現実とするためにも、早期の予算執行が求められる。「4―6月期が底だった」と言えるようにしたい。
(2020/6/11 05:00)