(2020/6/18 05:00)
中小企業にとって、事業継続の正念場だ。資金繰り支援を有効活用し、今後の成長へと結びつけてもらいたい。
国の第2次補正予算で、企業の金融支援などに11・6兆円が投じられる。施策の中心となる実質無利子・無担保融資などの資金繰り支援は、政府系・民間金融機関合わせて8・8兆円。融資額上限も最大6億円に引き上げられ、中堅規模の資金需要にも対応できるようになった。
新たに導入されたのが、返済順位が低く、資本増強に近い位置付けの「資本性劣後ローン」。将来成長の見込みはあるが、コロナ禍で債務超過など財務状況が悪化し新規融資が困難な中小や、ベンチャーなどの利用を想定する。貸付期間が最長20年と長期で、期間中は利息の支払いのみで済む。負債ではなく資本とみなされ、新規融資の実行にも結びつくなど利点が多い。
一方、劣後ローンを実行する金融機関は、企業が破綻すると債権回収がほぼ困難となるため、審査は通常の融資より厳格になる。金利も今回は3年間は一律0・5%だが、4年目以降は赤字なら据え置き、黒字なら2・6%または2・95%に上がるため、ほかの融資制度より利率が高くなる場合もある。最低5年間は期限前の返済はできないので、高い利率を払い続ける可能性もある。メリット、デメリット両面があることを認識しておく必要がある。
中小向け劣後ローンの対応は日本政策金融公庫、商工中金が行う。従来の融資でも、人が殺到して実行に時間がかかっている。劣後ローンは将来性評価により時間がかかる。企業は日頃から取引のある地域の金融機関や商工会議所などに相談して、綿密な事業計画を作成するなど、やれる限りの準備をして申し込みに臨むのが賢明だ。
さまざまな金融支援策をどう活用するかは、各社の今後の事業戦略と密接に関係する。既存事業がそのまま回復するかも見通せない。当面の資金繰り対策だけでなく、新規分野や事業変革にも目を向け、コロナ後の成長軌道に乗せる原資として生かしてもらいたい。
(2020/6/18 05:00)
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