(2020/6/19 05:00)
予算が適正に執行されているかどうかをしっかり点検し、経済効果を最大限に引き出さなければならない。
第201通常国会が17日に閉幕した。会期中に新型コロナウイルス感染症対策として2020年度の第1次および第2次補正予算が成立し、一般会計の総額が合わせて58兆円という異例の規模の予算執行が本格化する。雇用や生活、企業の資金繰りを支える効果をどれだけ発揮するかを点検し、必要なら軌道修正も検討しなければならない。問題は国会閉会中に、監視の目をどう行き届かせるかだ。
ここにきて景気には底入れの兆しが見え始めた。外出自粛要請や休業要請の解除で、経済活動が徐々に再開しつつある。だが製造業の間では、事業環境の厳しさを指摘する声が依然として多い。
国内外の需要が持ち直し、生産が活発化して、設備投資も盛り上がるといった自律的な回復軌道に乗るまでには、相当な時間がかかるとされる。感染の第2波、第3波も警戒される中で需要が元に戻るのは、数年先になるとの指摘もある。
当分、自律的な回復が見込みにくい景気を下支えする働きが、2次に及ぶ補正に盛り込まれた経済対策に求められる。巨額とはいえ限られた予算を有効活用し、効果を最大化しなければならない。野党が問題視する給付業務の民間委託は、迅速な業務執行に必要だが、事業者の選定過程や複雑な下請けの構図と手数料の適正さなど、不透明な点があったのは否めない。
2次補正には10兆円もの予備費も計上された。これを含む予算を一円たりとも無駄にせず、苦境にある企業や家計のための施策に厳格に振り向けているかどうかを、厳しく監視する必要がある。本来ならこの役目を国会が担うが、当面はこうした行政監視機能を発揮する場面が、週1回の開催で与野党が合意した閉会中審査に限られる。
政府・与党は自ら襟を正して予算執行の透明性を高めるとともに、真摯(しんし)な態度で審査に応じ、国民や産業界の信頼確保に努めなければならない。
(2020/6/19 05:00)
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