(2020/6/23 05:00)
日本企業の収益力の低さと生産性の伸び悩みが各所で指摘されている。収益向上には自動化や、ITを活用した効率化に目が向きがちだが、それだけだろうか。
日本取締役協会の独立取締役委員会委員長の中神康議さんは「企業の『稼ぐ力』とは『リスクテイク力』である」と強調。各種指標を元に「日本企業はリスクをなかなかとらないだけでなく、とったリスクに見合うだけの利益を上げる力がない」と分析する。
ひとつの例が、諸外国では聞かれない「企業30年説」だ。日本でも創業期の企業は高収益だが、年月の経過につれて稼げなくなり、米国企業の平均と大差がつく。「本当に長期的視点に立った経営をしているなら収益性が上がってしかるべき」という批判は耳に痛い。
みさき投資(東京都港区)社長として“モノ言う投資家”を実践する中神さん。社内調和型で、無責任や不作為、そんたくが起きがちな伝統企業を変えるには、社外役員の役割が重要だと主張する。その考えを日本取締役協会で検討し、報告書にまとめた。
「利益より安定成長」を志向する経営者が、企業家精神の不足を株主から指摘されるのは辛い。日々の業務改善だけでなく、大胆な新規投資にも改めて目を向けたい。
(2020/6/23 05:00)