(2020/7/1 05:00)
政府のキャッシュレス・ポイント還元事業が6月末で終了した。消費増税による経済への打撃を緩和するという当初の目的が果たせたかどうか、新型コロナウイルスショックの混乱の中では判定しがたい。
それでも過去に例がないほど画期的だったのは間違いない。国民は中小小売店の店頭で買い物をするたび、財布から取り出す小銭で増税を思い出す。ポイント還元は現金決済を抑制し、同時にちょっとしたオトクを感じさせる効果があった。
コロナ対策の10万円定額給付の手間をみても分かるように、政府の経済対策を国民一人ひとりに届けるのは容易ではない。前提条件が異なるが、ポイント還元なら少額給付が末端に行き渡る。「景気は気から」と言うが、庶民の心に届く政策だ。
ただ経済産業省が期待したほど、中小のキャッシュレス化が定着するだろうか。制度終了と同時に決済手数料が上がれば、キャッシュレス対応を取りやめる店も出るだろう。
これからは店頭で、はがし忘れた赤い「Cの字シール」を目にするたび、もの悲しい気分になるかも知れない。せっかく広く認知されたポイント還元を一度きりにせず、今後も景気対策のツールとして活用してはどうだろう。
(2020/7/1 05:00)