(2020/7/10 05:00)
コロナ禍で白日にさらされたデジタル対応の遅れを直視し、今度こそ実行に結びつけなければならない。
政府は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2020」の原案をまとめた。
「未来を先取りする社会変革に取り組まねば、世界から取り残され埋没しかねない」「デジタル化の社会実装が遅れ、先行諸国の後塵(こうじん)を拝している」―率直にこれまでの取り組みの遅れを認めた。
問題は反省を踏まえ、改革への具体的な行動をどこまで起こせるかだ。
骨太方針では、デジタル政府の構築を「一丁目一番地の最優先課題」と位置付けた。コロナ感染が拡大するなか、感染情報の実態が正確に把握できず、生活が困窮する世帯や事業者に給付金や融資が迅速に届けられなかった。これらの要因の多くは、デジタル対応の遅れにあった。
政府はこの1年を集中改革期間とし、内閣官房に民間の専門家を含む新たな司令塔機能を設けて取り組む。リモートであらゆる手続きができる仕組みを目指すというが、日本は省庁や自治体ごとに異なる情報システムが存在する。屋上屋を架すのではなく、利用者にとって使い勝手がよく、さらに行政コストの引き下げとなるものとしていかなければならない。
あらゆるデータが省庁や自治体に閉じた形で保管されている。各種データを連携させ、人工知能やスーパーコンピューターを駆使して解析し、有効な施策立案に生かすデータ連携基盤づくりも必要だ。
個人情報保護法や行政手続きに関する法令改正や規制改革も一括で進め、実効性を高めていかなければならない。書面や押印を不要とする制度整備など、国民にとって安全かつ利便を高めるという視点が重要だ。
政府は17日にも骨太の方針を閣議決定し、来年度の予算や税制改正の編成作業に反映させる。デジタル化の加速は、少子高齢化、働き方改革、地方創生など国のあらゆる社会変革を加速させるツールとなる。不退転の決意で取り組んでもらいたい。
(2020/7/10 05:00)
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