(2020/7/14 05:00)
日本自動車工業会(自工会)を中心とした自動車関連4団体による資金調達支援プログラムが始動した。新型コロナウイルス感染症拡大により、経営難に陥った部品メーカーの資金調達をサポートする。業界団体による個別企業への財務支援は極めて珍しく、新時代における業界団体のモデルケースにしたい。
スタートしたのは「助け合いプログラム」。自工会、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会がスクラムを組み、コロナ禍で苦境に陥った部品メーカーなどを資金面から支援する。自工会が信用保証することで、資金調達が必要な自動車関連企業が迅速に融資を受けられる。
発案者の豊田章男自工会会長は「未来に向け、絶対に失ってはいけない要素技術と人財を守り、日本のモノづくり基盤を維持し続けていく」と強調。車づくりの仲間に手を差し伸べる「個別最適」を、日本のモノづくりを守る「全体最適」につなげる遠謀深慮である。
同プログラムは従来型の業界団体のあり方に一石を投じるものである。業界団体は親睦的な結束に基づき、ロビー活動を通じて業界の利益を追求する圧力団体として存在してきた。しかし、ほとんどの団体は会員企業の経営問題にはタッチしない。この試みは、既成の団体の枠組みを超越する新領域への“挑戦”と言える。
新たな支援は、企業の持続可能な経営にも寄与する。現在のコロナ禍では官による各種支援策が講じられ、最低限の安全網が整備された。しかし、官による支援に頼り切りでは、真の再生はできない。官に依存しない民間企業の自律性を促す一助にもなろう。
今回の試みは「互助の精神」が根幹にあり、日本企業の公益性を再確認する好機でもある。米国発の株主資本主義が世界で揺らぎ始めた今こそ、「公益資本主義」を広げるきっかけにしたい。この精神は国連の持続可能な開発目標(SDGs)と合致する。自工会などの新たな挑戦は、有形無形の変化と効果を産業界にもたらすはずだ。
(2020/7/14 05:00)
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