(2020/7/24 05:00)
日本の新型コロナウイルス感染症による死者数が1000人を超えた。東京都を中心に感染者数が再び増加に転じ、懸念が高まっている。医療や公共関連など、社会活動の維持に不可欠な人々に加え、無症状者への戦略的な検査の拡充が必要だ。
海外メディアは、強制力のない外出自粛やPCR検査数の少なさにもかかわらず、日本で第1波がそれほど広がらなかったことを「成功物語」と多少の皮肉を込めて称賛している。日本の感染者数が低レベルに留まったのは、マスクや手洗い、うがい、消毒などを生活習慣として励行した国民の衛生意識の高さゆえだろう。
京都大学の山中伸弥教授は、感染抑制の背景に日本独自の「ファクターX」があるとの仮説を立てている。そうした実態の有無を解明し、今後の防疫に生かしたい。
すでに予兆が始まっているかもしれない第2波を、国民の自助努力だけで防ぎ切れるかどうかは分からない。重症者や死者数が落ち着いている現状は、感染に一定の歯止めがかかっているようにみえる。しかし、若者から中高年層に感染が広がる中で危機は確実に増大している。
今後、必要なのは感染拡大防止と社会・経済活動の両立可能な道を目指すことだ。そのためにはPCR検査と抗体検査をうまく組み合わせ、市中感染を早期に検出し、抑え込んでいく地道な取り組みを続けていくしかない。
海外のいくつかの国では、希望したすべての住民が無料でPCR検査を受けられる。日本でも積極的に公費を投入し、医療関係者や入院患者、高齢者施設入居者などへの定期的な検査を実施するとともに、公共交通機関や生活必需品の生産・流通に携わる産業人への検査を実施していく必要がある。
さらに、民間検査機関や大学も動員して、無症状者でも検査が受けられる体制を整えたい。豊富な検査データに裏付けられた対策は国民の安心感を高め、経済対策の実効性を確かなものにする。攻めの検査拡充でコロナ禍に挑みたい。
(2020/7/24 05:00)
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