(2020/7/28 05:00)
日本の小惑星探査機「はやぶさ2」は12月に地球に帰還し、新たな小惑星に向けた拡張ミッションに挑戦する。10年間にも及ぶ運用期間延長を乗り越え、理学・工学の両面で新たな成果を期待したい。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の計画では、「はやぶさ2」は12月6日に小惑星「リュウグウ」の試料を積んだカプセルを地球近傍で分離し、再突入させる。カプセルは初代「はやぶさ」同様、豪州の砂漠に着地する。同時に「はやぶさ2」はエンジンを吹かして軌道を変更し、新たな星に向かう。
宇宙探査で大きなコストがかかるのは、1基100億円前後とされる最初のロケット打ち上げと、深宇宙航行速度を獲得するための加速の燃料消費である。すでに宇宙を飛行中の探査機を再利用すればコストは格段に安くなる。
初代「はやぶさ」も延長プランがあったものの、多くの不具合で実現できなかった。「はやぶさ2」は順調に飛行していることから新たなミッションが具体化した。燃料は地球到着時に半分以上を残す見込み。メーンのイオンエンジンも、同型機の地上実験で設計寿命の数倍の運転を確認しているという。
JAXAは拡張ミッションの探査対象となる小惑星を二つに絞り込んだ。いずれも到着まで9―10年間を要する。到着後には近傍にとどまり、観測データを地球に送信する。新たな理学的成果が期待できよう。ただ「リュウグウ」の時のような地球帰還の予定はない。
運用が長期にわたるのは、地球や金星の重力を利用した加速(スイングバイ)をするためだ。深宇宙の長期航行は運用担当者にとって貴重な経験になるに違いない。
この前提となるのが、すでに6年を経た探査機が、さらに10年以上にわたり正常稼働することである。宇宙空間で極度の温度差や電子線照射にさらされる電子機器はエラーを起こしやすい。日本の電子機器の基礎力が試されると言えよう。低コストで最大の成果をあげるべく、知恵を集めてもらいたい。
(2020/7/28 05:00)
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