(2020/7/30 05:00)
“自立した宇宙利用大国”となるには、産業界との連携強化が不可欠だ。
政府は今後10年間の宇宙政策を示した「宇宙基本計画」を策定した。安全保障や災害対策、宇宙探査などの分野で衛星利用を進めるとともに、約1・2兆円とされる国内の宇宙産業規模を、2030年代早期に倍増させる方針。特に産業分野における衛星データの利用促進や高度化に力点を置いている。
衛星から得られるデータは、気象予報やナビゲーションなどさまざまな用途がある。衛星画像を加工した「グーグルアース」など、一般利用者にもなじみが深いものもある。衛星データの高度化では、準天頂衛星「みちびき」を利用した、誤差センチメートル級の測位精度による自動運転技術の開発が進んでいるが、利用促進においてはまだまだ開拓の余地は大きい。
経済産業省は、今年度から宇宙産業基盤の維持・強化を目的に人工衛星やロケットに使われる部品やコンポーネントを調査し、重要技術の特定を進める。米中貿易摩擦や感染症、自然災害などで基幹部品の海外調達が難しくなる事態を想定し、国産化比率を高める方針。
加えて衛星データの利用促進策として、サプライチェーン強化のための技術開発・実証事業に取り組む。超小型衛星に搭載できる赤外線センサーの開発を支援し、衛星で検知した工場の熱量などをもとに稼働状況を把握する。海外の調達先工場が稼働していないと判断できれば調達先を切り替え、供給途絶の影響回避に役立てる。自然災害の被害調査にも有効活用できる。
政府は政府保有の衛星データを安全保障上懸念のあるデータを除いて、原則無償で提供する仕組みを検討している。そこから得られるデータを活用した新たなビジネスの創出に結び付けていきたい。
同時にアジアなどこれから宇宙開発に取り組む国々とも、データの共有や解析技術の提供などで連携し、ビジネス機会の拡大と、安全保障面での関係強化といった、戦略的な活用にも力を入れていく必要がある。
(2020/7/30 05:00)
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