(2020/8/3 05:00)
京都・大阪・神戸の京阪神エリアでスタートアップの育成に弾みがつきそうだ。政府の「スタートアップ・エコシステム拠点都市」に京阪神地域が選定された。これを機に、連携を促進してほしい。
京阪神以外に首都圏や中部圏、福岡市が同時に選ばれた。選定された都市は、米国シリコンバレーのような、世界的な起業家育成の仕組み作りを目指す。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、インバウンド(訪日外国人客)需要が一気に消滅した関西は、経済基盤の再構築へ、活気あるスタートアップを生み出し集積させることが重要だ。
近畿圏のベンチャー数は、1200社超とされる。スタートアップ支援の連携組織は、京阪神で強みとするライフサイエンスやモノづくり、情報通信の分野を中心に、大学発ベンチャーを含むスタートアップの輩出拡大を狙う。政府も選定都市の支援へ、有力な投資家や起業家を呼び込んだり、新規事業がやりやすい規制緩和の推進などを、今後3年かけて進める計画だ。
大阪はJR大阪駅北側の「うめきた」を中心に、大阪イノベーションハブなどスタートアップ支援拠点の形成を進めてきた。神戸も2015年から米ベンチャーキャピタル「500スタートアップス」と提携。京セラや日本電産などベンチャー発の世界的企業を数多く輩出した京都も支援の基盤は手厚い。
大阪市で毎年開かれる国内外の起業家が参加する国際イノベーション会議「Hack Osaka(ハック大阪)」は、20年度の実施計画で京阪神3都市が連携し同地域の企業や大学が多く参画することを検討する。
京阪神はとかく行政の足並みがそろわず、バラバラさを揶揄(やゆ)されることも多い。各支援機関がそれぞれノウハウを持つ育成の仕組みやイベントなどを共有し、好事例を生み出せれば、他分野への波及も期待できる。
25年開催の「大阪・関西万博」は、関西経済発展の起爆剤として期待が集まる。京阪神で生まれたスタートアップが活躍できる仕掛けも作ってほしい。
(2020/8/3 05:00)