(2020/8/13 05:00)
製造業の省エネルギー化は、生産性向上とともに地球温暖化防止のためにも待ったなしだ。新たな視点で効率的な運用方法に取り組みたい。
工場の省エネは従来、工程間のモノの流れの効率化や生産設備単体の省電力化への取り組みが中心だった。近年はそれに加えて、空調や照明など周辺設備の省電力化が進む。
ただ本命というべき生産ラインには、まだ省エネの余地がある。操業中の無駄な待機電力の削減だ。
例えば工作機械分野では、金型交換などのアイドリング時にコンプレッサーや冷却装置などの付帯設備を停止し、省エネモードに切り替え可能な機種も登場している。だが「複数台をつなげてラインで使用する際の運用方法は確立されていない」(大手工作機械メーカー)のが実情という。
ここに着目した東京理科大学理工学部の日比野浩典准教授の研究グループは、IoT(モノのインターネット)を活用し、アイドリングストップ機能付きの生産設備をラインに使用する際の運用方法を構築した。
具体的には、3台のロボットで構成する仮想の生産ラインを想定。アイドリング発生時にIoTで集積したデータから仕掛品の到達時間を割り出し、ライン全体で消費電力を削減する。
シミュレーションの結果、生産性を維持しながら、アイドリングストップ機能がないロボットで構成したラインに比べ30%以上、電力消費を抑えられることを確認した。同研究グループは今後、メーカーなどと組んで実証実験に乗り出す考え。
生産ラインの省エネには定量的な指標はなく、経済産業省も「生産ラインに限ったエネルギー消費量は把握していない」(産業機械課)という。ただ家電などに比べて耐用年数が長く、旧式機器がいまだに稼働しているケースが目立つ。
従来はこれをインバーター方式に置き換えるだけで省エネになった。次の段階として待機電力削減に取り組めば、さらに効果が見込める。地球環境問題の視点からも期待したい。
(2020/8/13 05:00)
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