(2020/8/18 05:00)
緊急事態宣言の解除で回復が期待された景気は、新型コロナウイルス感染者の再拡大で下振れ懸念が高まっている。新しい生活様式と経済活動の両立へ、政治の役割が問われている。
内閣府が17日に発表した2020年4―6月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、年率27・8%減と3四半期連続で大幅に悪化。リーマン・ショック後の09年1―3月期の同17・8%減を下回り、数値が遡れる1955年以降で最大の落ち込みとなった。
GDPの過半数を占める個人消費は、前期比8・2%減と大幅に悪化。4月の緊急事態宣言で外出が制限され、飲食・旅行需要が大幅に減少し、サービス分野に加えて自動車や衣料品の販売も激減した。
設備投資は働き方の変化に伴ってデジタル化関連投資が増えたものの、企業収益の悪化や需要の先行き見通し難から投資を延期・中止する企業が相次ぎ、同1・5%減と2四半期ぶりに減少した。
外需は欧米先進国で都市封鎖が拡大して海外需要が大幅に減少したため、自動車、電機などの製造業で輸出減少を余儀なくされた。生産活動を再開した中国からの輸入はわずかに増加したが、外需はマイナス寄与に終わった。
4―5月に落ち込んだ消費は、5月末に緊急事態宣言が解除されたため6月には回復の兆しを見せた。1世帯当たりの消費支出は4、5月と前年同月比で2ケタ減だったが、6月は同1・2%減に改善した。政府は7月の月例経済報告で景気判断を「このところ持ち直しの動きがみられる」へと上方修正した。
7―9月期の見通しは国内外の活動制限緩和を背景に、景気は持ち直す公算が大きい。4―6月期の反動もあって年率10%超のプラスという強気の見通しもある。しかし、7月以降の感染再拡大で消費は回復力に欠けるのが実情。
経済活動を活発化するには、感染拡大への対策と新たな景気刺激策が必要だ。早期に臨時国会を開催し、議論を始める時ではないか。
(2020/8/18 05:00)
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