(2020/8/20 05:00)
新型コロナウイルスの“巣ごもり消費”で売れているもののひとつが家庭用パン焼き器だ。「通販大手で倍近く売れて、シェアが一気に上がりました」と話すのはシロカ(東京都千代田区)社長の金井まりさん。
低価格の家電品の多くは中国企業への生産委託だ。コロナの混乱で中国国内でも生産や物流が止まり、数の確保が難しくなった。そんな時に他社との差別化に役に立ったのが人脈と情報だという。
金井さんは学生時代に食品輸入の商社を設立する一方、中国に渡って製品検査の仕事を受託。その縁で季節家電の台湾の上場メーカーに入社し、役員として日本向け製品開発や販売を担当した。
2019年12月、経営破たんした旧シロカの株の過半を買い取る形で事業を引き継ぐ。コロナの混乱を察知して「1月中から対策を練り、中国の友人も応援してくれたので、どこよりも早く立ち上がれた」と笑顔を見せる。
社長就任後、中国製家電の輸入に近かったラインアップから、設計をすべて日本でするよう改めた。さらに「家電だけに終わりたくない」とパン用ミックス粉に進出し、販売ルートを開拓中。いまひとつ元気がない日本の業界で、異色の中小メーカーだ。
(2020/8/20 05:00)