(2020/8/21 05:00)
2020年度第2次補正予算に盛り込んだ10兆円の予備費も機動的に活用し、景気の底割れを何としても食い止めてもらいたい。
景気の下ぶれ懸念が強まってきた。新型コロナウイルスの新規感染者が再び急増する中で、個人消費を中心に経済活動を抑制する動きが見られる。内閣府がまとめた7月の消費動向調査によれば、消費者心理を表す消費者態度指数(2人以上世帯)は、季節調整値で29・5と前月比1・1ポイント上昇し、3カ月連続で改善したものの、上昇幅は5月や6月に比べて小さかった。
こうした傾向は同じく内閣府がまとめた7月の景気ウォッチャー調査、いわゆる「街角景気調査」でも明らかだ。「天候不順や新型コロナの感染拡大の影響を受けて、7月中旬から回復の動きが失速し始めている」(近畿地方のレストラン関係者)といった回答が多く寄せられ、緊急事態宣言の解除後、持ち直す機運にあった景気に陰りが見え始めた。
内閣府が17日に公表した4―6月期の国内総生産(GDP)速報は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比年率27・8%減に落ち込んだ。専門家の間ではこの反動で、7―9月期にはプラス成長に転じるとの見方が大勢だが、足元の感染状況が続けばV字回復もままならなくなる。こうした状況下で景気の二番底をいかに食い止めるかが、当面の重要課題となる。
これからの台風シーズンは、大規模自然災害の発生に伴う景気の悪化でも、万全の対策が求められる。7月に各地を襲った豪雨災害への対応では、被災した中小・小規模事業者の事業再建などを支えるため、20年度の予備費から1000億円余りを拠出することを決めた。
大規模災害への対応では、何より機敏な判断が要求される。同様に未曽有の災害と言えるコロナ禍を背景とした景気の悪化でも、野党と危機感を共有して必要とあれば予備費を機動的に投入し、景気の底割れを防ぐための有効な手だてを講じてもらいたい。
(2020/8/21 05:00)
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