(2020/8/26 05:00)
永田町ににわかに政局の気配が漂い始めている。安倍晋三首相の2度にわたる病院訪問が臆測を呼んでいる。「持病の潰瘍性大腸炎が悪化した」、「もっと深刻な病なのでは」とかまびすしい。
体調や病状は個人情報の最たるものだが、公人中の公人である首相の体調は、国家の安定を揺るがす要因ともなる。もし病気であれば、自ら公表し臆測を排除する必要があるだろう。
首相の連続在職日数が歴代最長を更新したタイミングというのも、後任問題を想起させている。いずれにしろ、首相の進退は自身で判断するしかない。
中西宏明経団連会長は、21日にリンパ腫の再発を公表し入院した。病室で治療しながら、リモートで指示を出している。委員を務める政府の会議や経団連の正副会長会議など、重要な案件は体調を見ながら出席を検討するなど、柔軟に対応するという。
安倍首相は周囲の「休んでもらいたい」という声にも、なかなか耳を貸さないようだ。国内外の情勢が激変するなか、すべての情報をシャットダウンして休養するのは難しかろう。自宅や病室で体を休めながらリモートで執務することが可能な時代だ。国民が先行するテレワークを体験する機会にもなる。
(2020/8/26 05:00)