(2020/8/27 05:00)
雇用調整助成金の特例は、新型コロナウイルス感染症に苦しむ事業者と、その従業員にとって命綱だ。来春までの延長を求めたい。
政府は2月に雇調金の特例措置を導入して以来、何度かにわたり対象や助成率を拡大してきた。現行制度は、中小企業が雇用を維持した場合、休業手当を満額支給することや、雇用保険に加入していないアルバイトなど非正規労働者も「緊急雇用安定助成金」として雇調金と同額を支給するなど、リーマン・ショック時など過去の特例を大幅に上回る手厚い措置となっている。産業界もこうした政府の対応を高く評価している。
ただ、この特例は9月末で終了する。このため経団連や日本・東京商工会議所は延長を強く要望してきた。政界でも与野党を問わず延長を求める声が強い。加藤勝信厚生労働相は25日の閣議後会見で延長について「早急に判断していきたい」と表明し、オンライン申請の受け付けを再開した。年内の延長を軸に検討しているという。
雇調金特例は、コロナ禍に苦しむ産業界にとって不可欠だ。これが途切れれば、多くの企業がやむを得ず従業員に解雇を通告し、社会に混乱が広がる。
また今回の特例で、雇用保険未加入の非正規労働者でも助成が受けられる意味は大きい。中小・零細な事業者で働く人の生活が救われることになり、一律給付金に比べてはるかに効率的な制度といえる。
特例の延長には財源が必要だが、それは補正予算で措置した予備費を活用すべきだ。助成が常態化し、企業が雇用を公的助成に頼るようになっては困る。しかしコロナの収束時期が見通せない以上、感染懸念が再び高まる今冬を乗り切るまで、何らかの助成は欠かせない。
日商・東商によれば、中小企業の中には「要件が複雑」「初めてで、申請方法がよく分からない」などの声がいまだに聞かれるという。これまで雇調金に無縁だった優良企業もコロナの打撃を受けている。政府には、より分かりやすく、力強い支援を求めたい。
(2020/8/27 05:00)
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