(2020/8/31 05:00)
「選挙に落ちたらただの人」といわれるのが政治家の世界。政権復帰をかけた2012年12月の衆院選で圧勝したのを手始めに、国政選挙で6連勝した。その強さが安倍晋三首相の求心力を高めて、長期政権を築き上げた。
7年8カ月を超す首相在任期間は単に最長記録というだけでなく、経済や外交面で成果を上げた。第2次政権発足と同時に打ち出した経済政策「アベノミクス」は円高・株安の流れを変えた。長期政権が産業界に安心感を与え、景気拡大や雇用情勢の改善を実現した。
外交では米トランプ大統領との個人的な信頼関係を醸成し、地球儀を俯瞰(ふかん)する外交を展開。さまざまな主要国首脳会議の場で、安倍首相が取りまとめ役を果たす場面もあり、まさに世界で“顔が利く”存在だった。
くしくも13年前と同じ潰瘍性大腸炎で突然の辞任表明となったが、拉致問題、北方領土問題などは未解決のまま。招致に貢献した東京五輪・パラリンピックを首相として迎えたかった気持ちは察するに余りある。
現下の課題は新型コロナウイルス対策である。幸い安倍首相の体調は好転し、職務を続けるという。後任の総裁・首相選びは急がず、国民の納得のいく形で行ってほしい。
(2020/8/31 05:00)