(2020/9/3 05:00)
プラスチック射出成形を手がける睦化工(東京都大田区)社長の古川亮一さんは、新型コロナウイルス感染症が収束したら再開したいことがある。
「毎年受け入れていた中学生を対象にした企業研修を再開してほしい」と言うのだ。いくつかの中学校は、修学旅行で東京に来る際、企業研修として全員が5、6人のグループに分かれて、各所を訪問するそうだ。その一つとして同社の工場見学が毎年実施されている。
見学の後、生徒たちから「仕事にやりがいを感じるのはどんな時か」「どうしてこの仕事を始めたのか」と質問攻めに合う。中には「人工知能(AI)が普及したらこの仕事はどうなるか」という質問も。どれも本質を突いた質問ばかりで、古川さんは感心しきり。
岡山県や岐阜県から毎年3、4校が訪れるが今年は残念ながらゼロ。いつ再開できるかも分からず、同社だけでなく訪問を楽しみにしていた生徒さんもさみしがっている。
遠方の中学校で、採用活動を期待しているわけではない。「やった結果を喜んでもらえれば」と自然体。だからもう10年以上続いている。生徒にも大人にも貴重な経験をもたらす機会。古川さんは静かに再開の時を待っている。
(2020/9/3 05:00)