(2020/9/3 05:00)
政府の新たな地球温暖化対策計画の策定作業が始まった。社会変革の加速とエネルギー・経済安全保障という新型コロナウイルス感染症で明らかになった課題を踏まえ、大きな視点に立った議論を期待したい。
環境省の中央環境審議会と経済産業省の産業構造審議会の、地球環境関連小委員会の合同会合が検討の舞台となる。
政府が3月に国連に提出した、「温室効果ガス排出量を2030年度に13年度比26%削減」という目標を着実に実施し、さらに2050年など中長期の目標を深掘りするために、どういう対策が必要か。ウィズコロナ・アフターコロナの世界が気候変動に及ぼす影響をどう考えるか。これらが検討課題である。
コロナ禍を経験した我々が認識すべきは、社会や人の活動が大きく変わる可能性があるということだ。在宅勤務が当たり前となれば、オフィスのエネルギー消費は減少するが、家庭での消費は拡大する。都市部に集中した人口が地方に分散し、デジタル化が進展することは、温室効果ガス排出とどういう関係が生じるのか。科学的な見地から検証していく必要がある。
もうひとつの課題は、経済・エネルギー安全保障の観点だ。コロナ禍で医療や素材などの重要物資の中国依存が明らかになった。日本のエネルギー自給率は11・8%と先進国で最低レベルにあり、安定供給が脅かされるリスクを抱えている。
安定供給と温室効果ガスの排出削減を両立させるには、再生可能エネルギーの主力電源化と、安全が確認された原子力発電の稼働を主軸に、多様な電源で補完しあうエネルギーミックスの視点が欠かせない。
地球温暖化対策に取り組むことが、経済成長につながる施策でなければ、持続可能な取り組みとはならない。イノベーションが何よりも重要だ。ただ、投じられる資金には限りがある。社会変革の方向性と研究開発のベクトルを合わせ、有効な施策に投資を集中させる必要がある。
今後の議論で有効な対策を見いだし、排出量削減目標の深掘りを実現してもらいたい。
(2020/9/3 05:00)
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