(2020/9/4 05:00)
自民党総裁選に、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長が出馬を表明した。コロナ禍で大きく傷ついた国民生活、企業活動をどう回復させるのか。国民は候補者の声を聞きたがっている。
総裁選は、緊急事態であるとの認識から、時間がかかる全国の党員・党友による投票を省き、国会議員と都道府県連代表による投票で行う。8日に告示、14日に投開票される。
3候補には経済政策として「ポスト・アベノミクス」への考えを聞きたい。アベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略という3本の矢で、日本経済の再興を目指した。
日銀の異次元金融緩和政策で、円安・株高は実現した。失業率も大幅に低下し、雇用環境は改善した。一方でデフレ脱却は遠く、経済成長も先進国中で低位の水準にとどまっている。労働者の所得格差も拡大した。
3氏の出馬表明での経済政策に関する主張は、菅氏は「アベノミクスの継承」、岸田氏は「格差解消に課題あり」、石破氏は「個人所得の伸び悩み」をあげたが、大きな差異はない。しかし、アベノミクスには功罪両面があるのは明らかであり、従来の経済政策を継承するだけではすまない。デフレ脱却、格差是正、経済成長を進めるための新たな政策が求められている。
また、コロナ禍で傷ついた家計や企業の回復への方策も聞きたい。財務余力のとぼしい中小企業の倒産が相次いでいる。対策は待ったなしである。
派閥の多くが菅氏支持に回り、大勢はほぼ固まったかにみえる。しかし、投開票までの期間を、票読みと新政権でのポスト争いに終始すれば、国民・産業界はしらけるだけだ。経済政策で激論を交わし、そのなかから政策を磨き上げることは、新政権発足時のスタートダッシュに直結する。それこそが政治の空白を生まないプロセスといえるのではないか。
アベノミクスの継承だけでは、日本の苦境は救えない。自らの言葉で、日本経済の立て直し策を語ってもらいたい。
(2020/9/4 05:00)
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