(2020/9/7 05:00)
政権の終わり方は実にさまざまだ。ただ戦後の長寿内閣の例を見ると、いくつかのパターンがある。
不人気や不支持は退陣の定番。在任日数で戦後第3位の吉田茂氏は相次ぐ汚職で人気が失速し、野党の日本民主党に政権を渡した。第2位の佐藤栄作氏は「国民に直接話したい」と新聞記者を退け、テレビカメラを前に孤独な退陣表明会見をした。
余力を残しつつ身を引いたのは、第5位の中曽根康弘氏。退陣後の後継総裁を指名する実力者だった。第4位の小泉純一郎氏も国会閉幕後の任期満了までの期間、外遊を繰り返す余裕を見せた。
在任日数でトップの安倍晋三首相の退陣の理由は、持病である潰瘍性大腸炎の悪化。病気退陣は戦後6位の池田勇人氏の例もある。がんを発症し入院したものの、東京オリンピックが迫っていたため病気を隠し、閉会式翌日に退陣を表明した。
安倍首相は2度目の東京五輪・パラリンピック招致に成功したものの、開幕を迎えられなかった。病気退陣は無念だろう。とはいえまだ65歳。持病を癒やす治療ができればまだまだ活躍できる。「SHINZO ABE」の名は世界で浸透している。やり残した外交課題に、役割を見いだしてはどうか。
(2020/9/7 05:00)