(2020/9/9 05:00)
インターネットを使って調査の負担を軽くすると同時に、国民が「デジタル政府」を実感できる施策が求められる。
国勢調査は5年に1度、国内に住む人すべてを対象に実施する国の最も基礎的な調査だ。今回は新型コロナウイルス感染症の渦中での実施となる。
政府は5年前の2015年調査でネット回答を全国導入。約20%の利用を見込んでいたが、結果はこれを大きく上回る36・9%がネットで回答した。今回は40%を必達目標としつつ、50%に挑戦する。
ネット回答は住民と調査員の接触を避け、不在がちな単身世帯でも回答しやすい。調査期日は10月1日だが、ネット用IDは14日以降、全世帯に配布する。ここで回答しない世帯を調査員が訪問する仕組みだ。
ネットでも回答用紙でも答えなかった世帯については、調査員が再度訪問するか、近隣で聞き取り調査をする。この聞き取り率は15年調査で実に13・1%に達した。05年の4・4%から毎回、増加している。それだけ調査に余計なコストがかかったことになる。
調査担当者は「ネットで手軽に回答できることを、もっと知ってもらいたい」(総務省統計局)として、企業や各種団体へのPRを強化。企業を通じて外国人従業員に呼びかけるなど新たな試みをはじめた。英語だけでなく中国語、韓国語、ベトナム語など6言語で回答できる仕組みも取り入れた。
コロナ下では調査員の世帯訪問の負担が大きい。今回は集計結果の公表を前回より遅らせるなど、スケジュールに余裕を持たせた。ネット利用の加速で、よりスムーズな調査を実現したい。初めて回答する若い世代への声がけなど、企業が協力できることもあろう。
国勢調査のネット利用は、世界的にも大規模なものだ。5年に1度の調査だけでなく、マイナンバーにひもづけるなどして、国民に「デジタル政府」の利便性をアピールする機会にできないだろうか。今後、より新たな時代を感じられる調査を目指してもらいたい。
(2020/9/9 05:00)
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