(2020/9/17 05:00)
難局を乗り越える突破力があるのか。国民の関心は、その一点にかかっている。
菅義偉内閣が16日発足した。要の官房長官に厚生労働相だった加藤勝信氏を起用。麻生太郎副総理兼財務相や梶山弘志経済産業相、茂木敏充外相ら留任する閣僚も多く、即戦力を重視した布陣と言える。菅首相肝いりの、役所の縦割りや既得権益の打破を実行する行政改革相に前防衛相の河野太郎氏を配した。
新型コロナウイルス感染症で傷ついた経済の立て直しが最優先である。足元の経済指標は悪化に歯止めがかかったが、回復は見通せない。雇用を守り、1社でも多くの企業が事業を継続していくための施策を、切れ目なく打ち続ける必要がある。
菅首相は「自助・共助・公助そして絆」を掲げた。まずは自分でがんばってみる。当然そうあるべきだ。地方銀行の再編に言及した。経営悪化に苦しむ地銀の再編は不可避だが、具体策は個々の地銀の判断が大事だ。地域経済にとってあるべき再編の姿を大前提に、真摯(しんし)に向き合えるよう促してもらいたい。
中小企業の成長戦略も必要だ。ただ、企業を集約し規模を大きくすれば生産性が向上するという単純なものではない。取引慣行の適正化など、1社では取り組めない課題は政策で支援し、成長戦略は経営者自身が考える自助の視点を重視したい。
行政機構のデジタル対応の遅れを、一気に加速させる方針も掲げた。デジタル化は、デジタル庁を創設し、コンピューターと通信回線を用意すればできるというものではない。
国民の所得や資産、納税額、銀行口座などの情報を連動すれば、コロナ禍のような事態に、生活に困窮する世帯にピンポイントで迅速な給付ができるだろう。しかし国民の個人情報をどこまで国が連携させるべきなのか。そして国民はどこまで許容するのか。大きな議論が必要だ。
国民にこの国が進むべき方向を示し、そこから得られる利益と不利益の双方を丁寧に説明し、理解と同意を得て果断に取り組む。説得力と行動力を新政権に期待したい。
(2020/9/17 05:00)
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