(2020/9/21 05:00)
新型コロナウイルス感染症との戦いの中で、日本が世界に誇るべき取り組みの一つが、高齢者介護施設における死亡率の低さ。施設で介護に従事する人たちの献身的な努力のたまものだ。
残念だったのは、家族との面会が制限され、会えない日々が続いたこと。コロナ感染は高齢者には重大なリスクになるだけに、仕方がない対応だった。施設入居者には認知症を患う方も多く、症状を悪化させる事例もあったと聞く。
認知症は人間の活動をコントロールする脳の機能低下により、物忘れや判断力低下などの障害を起こす。なぜうまくいかないのか本人も分からないままだから不安が募る。実際に手を握ったり、話しかけたりすることが有効なのに、コロナ禍でそうした対応ができない状況が続いた。
このところ施設も面会を再開するようになってきた。ただ、人数に制限があったり、距離をとらなければならないなど、まだまだ制約も多い。
きょうは認知症の理解促進を目的に世界保健機関(WHO)などが決めた「世界アルツハイマーデー」。コロナで途絶えかけたふれあいを、少しでも取り戻したい。それは高齢者だけでなく、家族にとっても癒やしになるはずだ。
(2020/9/21 05:00)