(2020/9/25 05:00)
新型コロナウイルス禍でオンライン採用の導入が一気に進んだ。企業は対面による面接に比べ情報共有や信頼構築に工夫が要る半面、広域採用や経費削減など利点も多く、ニューノーマルな採用方法になりそうだ。中小企業こそ上手に活用したい。
採用支援サービスのMyRefer(東京都中央区)が、2021年3月卒業予定の大学生など約600人に実施した調査によると、複数社から内定を得た学生が「1社に絞る時期」は約57%が10月の内定式後と回答。内定式前に1社に絞る学生が9割強を占める例年とは様相が異なる。理由は「どの内定先が自分にあっているか決め手に欠ける」(約48%)が最多。「オンライン選考で学生は企業に対する理解を深められずにいる」(同社)とみる。
一方、オンライン採用の利点をあげる中小企業は少なくない。都内の装置メーカーは「地方の学生も受けてくるようになった」と好感する。採用経費の削減を評価する企業もある。学生の交通費負担が少なく、合同説明会に多くの社員を割かずに済むため人件費を抑制できる。
学生は企業説明会のようなインターンシップに魅力を感じない。ある中小企業は、志望者にグループ単位で「会社の10年後」をオンライン演劇で発表してもらった。学生は事前に企業からマイナス面も含めた経営情報を提供してもらい発表に臨んだ。企業への理解と愛着を深める効果が得られたという。
社員が知人を紹介するリファラル採用との併用で、情報不足によるミスマッチを防いでいる企業もある。最終面接のみを対面にして、職場見学を実施している企業は「オンラインでは職場のイメージがつかめない。肌感覚の情報共有が大事」と指摘する。
今後は対面とオンラインの面接を組み合わせた“ハイブリッド型”が採用の主流となりそうだが、学生から深い共感が得られない企業は、内定辞退者や早期退職者が多発しかねない。中小企業は個性あふれる工夫で、自社を知ってもらう努力を重ね、人材確保に努めてほしい。
(2020/9/25 05:00)
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