産業春秋／高齢者の免許返納を

身近で高齢者の運転による事故が続いた。最初は８０代の男性が運転する軽トラック。自宅近くの路地で軽トラをやり過ごそうと待機した男性のつま先を、徐行運転でひいてしまった。その道は５０年以上、毎日走っているという。

もう一件はマンションのパズル式立体駐車場。高齢者が最新の安全機能を備えた自動車をパレットに入れる際、後輪が側面の車止めを乗り越え、斜めに止めてしてしまった。次の人が他のパレットの呼び出し操作をすると、はみ出した車に触れたパレットが落下し、下の車がつぶれた。

実はこの数日間に何度かはみ出し駐車があったらしい。周りの人はそれとなく注意したようだが、当人は頑として「覚えは無い」と主張した。

ともに毎日の暮らしの範囲で起きた事故だ。これまでは当たり前の様に運転していた道であり、車庫入れだ。徐々に認知力や判断力が衰えたのだろうか。

高齢運転者の事故防止に、自動車メーカーはさまざまな安全装置を開発している。しかし技術では、どうしようもないこともある。家族や周りの人がちょっとした異変を察知し、免許返納を促すことが重要だ。それは超高齢社会に「自助」ではすまない人への大切な「共助」だ。