(2020/10/7 05:00)
防衛費の内容の説明と産業界との連携を、これまで以上に心がけなければならない。
各省庁の2021年度予算要求で突出した数字を掲げたのが防衛省だ。20年度当初予算比で8・3%増の5兆4897億円。さらに金額を決めない事項要求として米軍再編関係経費や、イージス・アショア代替のミサイル防衛システムの予算を求めている。財政当局の査定はこれからだが、過去最高を大きく更新するのは確実な情勢だ。
いくつかのやむを得ぬ事情があることは理解できる。周辺国が急スピードで軍備増強を続けており、わが国が劣勢に立たされていること。宇宙やサイバーなどの新領域で、最先端技術の開発に大きな投資が必要なこと。さらに近年の少子・高齢化の中で自衛官を確保し、同時に女性の活躍の場を広げるための人件費や施設整備費が増大していることも無視できない。
細かく見ると、人件・糧食費の伸びが3・5%なのに対し、装備品などの歳出化経費として15・5%増を要求している。つまり「兵器」の調達が防衛費を押し上げたわけだ。さらに次期戦闘機の開発が本格的に始まる21年度は772億円を要求。これは次年度以降、開発進展とともに増大するとみられる。将来の防衛費の膨張を予告するものである。
防衛省側は既存経費を細かく見直し、ミサイルの火工品(武器弾薬)継続使用や教育訓練用ソノブイ(音響探知機)の数量減などで1151億円を縮減。さらに一括調達や長期契約の活用に努めていると説明する。しかし激増する支出に縮減が追いつかないのは隠しようがない。
日本の防衛費は安倍晋三前首相の就任後、8年間にわたって増加してきた。21年度はそれが加速し、「激増」の局面に入ったといえる。
政府に求められるのは、この増加の理由や使途を、これまで以上に丁寧に説明することだ。また技術開発などで産業界と連携し、成果の最大化を図る必要がある。国民の目が厳しくなっていることを、当局は常に意識してほしい。
(2020/10/7 05:00)
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