産業春秋／新様式のドラフト会議

プロ野球のドラフト会議（新人選手選択会議）が２６日、都内のホテルで開かれる。プロ入り志望の高校生、大学生、社会人の各選手の入団交渉先を決める恒例のイベントだが、ここにも新型コロナウイルス感染症の影響がある。

２００９年から抽選で選ばれたファンを入れて公開してきたが感染防止策の一環で無観客開催に。日本野球機構（ＮＰＢ）の発表によるとウェブ会議ツール「Ｚｏｏｍ」経由で１０００人を招待する。

従来、ホテルの大広間で１２球団の関係者が集まっていたがチームごとに個室で待機し、中継映像を見ながら指名に臨む。おなじみの１位指名重複による抽選は別の部屋でくじを引く。

新様式のドラフトでは選手、球団ともに手探り。選手は実力を示す公式戦がほとんどなかった。球団も感染対策を含めてスカウトの派遣がままならなかった。これまで把握した能力、目利きを頼りに指名するしかないのが現状だろう。

新型コロナで産業界の採用活動は厳しさを増す。同様に今季は収入減を余儀なくされた各球団の指名戦略にも影響を及ぼしそうだ。とはいえドラフトはプロ野球選手にとって最初の晴れ舞台。指名された選手はまずその喜びをかみしめてほしい。