(2020/10/30 05:00)
新型コロナウイルス感染症のさなかも、水面下で開発競争は続いている。手を緩めてはならない。
各種の産業展示会が軒並みオンライン開催に変更となり、参加を見合わせる企業も少なくない。従来は展示会の開幕に照準を合わせていた新技術・新製品の開発を先送りする企業も出てきた。
日本工作機械工業会は12月に東京ビッグサイトで開催予定だった日本国際工作機械見本市(JIMTOF)を、11月16―27日のオンライン開催に切り替えた。出展者は2018年の1085社・団体から393社・団体に減少した。
大手工作機械メーカーはほぼ出展する。オークマの家城淳社長は「リアル展と同じ気合が入っている。需要を喚起したい」と前向きに捉え、新製品開発にも力を入れる。一方、中堅・中小メーカーは、出展を見合わせるところが多い。費用対効果を疑問視するほか「大手のような見栄えのするサイトが作れない」(中堅メーカー幹部)という悩みもある。
不参加には各社の事情や経営判断もあるだろう。現在の厳しい受注環境では、無理に開発を進めてもすぐには売れないとの読みもあり、「出展しないなら慌てずじっくり開発し、完成度の高い製品に仕上げたい」(同)という。しかし不参加に伴い開発をペースダウンする動きがあるのは気にかかる。
これまでのJIMTOFでは、まだ製品としては販売できない「参考出品」も多かった。来場者の声を聞き、開発に磨きをかけるためだ。来場者も技術トレンドをつかむため、むしろ参考出品を楽しみにして会場に足を運んでいた面もある。
業績悪化と依然厳しい受注環境により、従来通りには開発に力を注ぎにくい企業もあるだろう。しかし人手不足による自動化や新しいデジタル技術の活用など、市場の要求は確実に高度化し続けている。開発の継続・強化の進展次第で、企業間格差は広がる。展示会出展の有無にかかわらず、中堅・中小企業には、開発への注力を求めたい。
(2020/10/30 05:00)
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