(2020/11/10 05:00)
自由貿易体制の維持・強化が、米国の経済再生にとっても不可欠である。ジョー・バイデン次期米国大統領には、自国第一主義でゆがんだ世界との連携を、正しいものへと軌道修正してもらいたい。
混迷を深めた大統領選は、民主党のバイデン氏が当選確実となった。現職の共和党ドナルド・トランプ大統領は、選挙の不正を指摘し訴訟を提起したが、大勢に変化はない見込み。
バイデン氏は勝利宣言演説で、国民に融和を何度も呼びかけた。しかし、投票結果が出た後も、一部の共和党支持者が事実を受け入れず、社会の分断は解消どころか深刻化している。新型コロナウイルス感染症、経済の落ち込み、人種差別問題など、待ち構える課題の解決は容易ではない。
最初に取り組む課題として新型コロナウイルス対策をあげた。近く専門家チームを発足させ、具体策の検討に着手する。世界最多の感染者数と死者数が生じているだけに、科学的根拠に基づいた対策は米国民を安心させるだろう。
バイデン氏はトランプ政権で離脱した温暖化対策の国際枠組みのパリ協定への復帰や、世界保健機関(WHO)からの脱退とりやめを表明した。世界で最も発言力のある国が多国間組織や協定に加わる意義は大きい。
一方、演説で中国との関係や通商政策への言及が少なかったのは残念だった。中でも環太平洋連携協定(TPP)は、オバマ政権で交渉がまとめられたものが、トランプ政権で不参加となった。日本は現行のTPPを主導する国として、米国の再参加を強く促すことに尽力すべきだ。中国との経済摩擦は容易に解決できない課題ではあるが、米国のためではなく世界の秩序維持のための行動であれば、諸外国も賛同するだろう。
米国が自由貿易の重要性を再認識し行動すれば、保護主義が台頭する世界を変えるきっかけともなる。
日本は同盟国として、米国が進むべき方向を共に考える対等なパートナーとして、課題解決へ協調していくべきだ。
(2020/11/10 05:00)
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