(2020/11/17 05:00)
新型コロナウイルスの感染防止と経済活動の両立という困難な取り組みは、いま正念場を迎えている。
日経平均株価はバブル崩壊後の最高値を更新し、鉱工業生産指数など一部の経済指標が改善するなど、日本経済は明るさを取り戻しているように見える。
内閣府が16日発表した2020年7―9月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、年率21・4%増で、同28・8%減の記録的落ち込みとなった4―6月期から急反発した。
緊急事態宣言の解除で経済活動が再開したことや特別定額給付金の効果で個人消費が前期比4・7%増と反発したほか、海外経済活動の再開に伴い、自動車を中心に輸出も同7・0%増と大きく伸びたことがけん引役となった。
急反発したものの前期の大幅下落の半分程度を取り戻しただけで、GDPの水準自体は低い。「一時的なリバウンド」と言ってもよい。企業の成長力の基礎となる設備投資は、先行きの不透明感から、同3・4%減と前期に続いてマイナスだった。
10―12月期はGoToキャンペーン効果でサービス消費が持ち直していることに加え、中国や米国向けの輸出増が期待できるため、プラス成長の維持が予想される。ただ、欧米での感染が急拡大し、国内も感染第3波が到来しつつあり、成長の減速は避けられない見通し。
菅義偉首相はコロナ禍で落ち込んだ景気を下支えするため、追加経済対策を盛り込んだ第3次補正予算の編成を指示した。
コロナ関連対策として全国民へのワクチン接種実行のための環境を整備する。また、雇用調整助成金の上限額引き上げの特例措置を段階的に縮小しつつ来年1月以降も継続させ、GoToトラベルも延長するなど、コロナ対策と経済活動を両立させるための施策を盛り込む方針。同時にデジタル化、温暖化対策など、将来の成長への布石にも目配せをする。
景気が再び悪化する事態は何としても避けなければならない。適切な予算措置で経済再生に万全を期してもらいたい。
(2020/11/17 05:00)
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