(2020/11/24 05:00)
危険を放置するのではなく、きちんとコントロールしていく姿勢が重要だ。
経済産業省は原子力発電環境整備機構(NUMO)に対し、放射性廃棄物の最終処分場の候補地を選ぶ文献調査を認可した。調査着手は初めてのことで、日本の原子力の歴史にとって大きな一歩となった。
調査を受け入れた北海道・寿都町および同・神恵内村の英断に敬意を表したい。最初の段階は地質図や学術論文などの文献調査であり、放射性物質の持ち込みなどの危険はまったくない。まず科学的知見をもとに、その土地の適格性を判断することになる。
仮に最終処分場の候補地になっても、改めての地元同意は欠かせない。時間をかけて関係者の理解を得る必要があろう。NUMOは調査開始を「対話活動の一環」としている。結論を急がず、対話を前提とするのは妥当な進め方だ。
高濃度放射性廃棄物の処理は難問である。原子力発電所の是非とは無関係に、過去の廃棄物の処分は必要だ。といって深海底や火山の中のように、まったく人の手の届かない場所に埋めては流出を防げない。
現在の最終処分として考えられている「地層処分」は、廃棄物をガラス状に固化した上で堅固な容器に収め、安定した地層の中に設置するもの。地下に下りて監視できる体制をとりつつ、数万年かけて放射線量が周囲の土の自然放射線と同レベルに低下するのを待つ。
都市開発や鉱山採掘の可能性が将来も低く、噴火や断層のない場所を候補地として選定する。NUMOは近海の海底を含めて候補地を探るとしている。
条件に適合した場所に設ける処分場は、地殻変動に備えた堅固な構造をとる。稼働中の原発よりはるかに安全で、地震程度では被害を受けない。近くで生活もできる。こうしたことも国民に知ってもらうべきだ。
放射性廃棄物の危険は言うまでない。それを正確に理解し、科学の力で克服するのが人類の務めだろう。文献調査の着実な進展を望む。
(2020/11/24 05:00)
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