(2020/11/25 05:00)
日本人に適した国産ワクチンの開発を着実に進めるべきだ。
感染拡大が続く新型コロナウイルス感染予防の切り札となるワクチン開発で、海外製薬企業の実用化が見えてきた。国は全国民へのワクチン接種を念頭に、有望な複数の欧米企業とワクチン供給で合意している。
米製薬大手のファイザーは、独ビオンテックと共同開発する新型コロナワクチンの臨床試験(治験)で、このほど95%の感染予防効果があったと発表した。米モデルナが開発するワクチンも94%の有効性を示したとされる。ファイザーは米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請、年内にも米国民への接種が始まる見込み。
一方、国内企業では初期段階の治験をいち早く実施した、大阪大学発ベンチャー、アンジェスによる新たなDNA(デオキシリボ核酸)ワクチンが先行する。大阪市立大学と大阪大学の医学部附属病院で各30例の治験が6―10月に行われ、年内にも解析結果が公表される予定。
DNAワクチンの開発にかかわる、アンジェス創業者で阪大寄付講座教授の森下竜一氏は「遺伝子治療技術を応用した安全で効果の高いワクチンを、産学連携のオールジャパン体制で進める」とする。初期の治験結果を踏まえ、次は500人目標の治験を行う。
ワクチンは人種により効果に差がある。また効果がどれだけ持続するかも未知数。安全性や保管条件、調達の多様化を考えれば、多少遅れても国産ワクチンを開発する意義がある。実用化を急ぐ欧米のワクチンは高い効果が出ている反面、倦怠(けんたい)感や頭痛、発熱などの副作用も一定割合で生じている。DNAワクチンも新しい手法ゆえ、治験で得られた情報はきっちりと提供し、検証する必要がある。
アンジェスのDNAワクチンには、タカラバイオやダイセルなどの企業も生産面で協力している。塩野義製薬など他のワクチン開発も進んでいる。政府は国産ワクチン開発のための資金補助とともに、大規模な治験運用が円滑に行えるよう、多角的な支援を実施してもらいたい。
(2020/11/25 05:00)
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