産業春秋/公益法人の苦境

(2020/11/26 05:00)

新型コロナウイルス感染症によるイベント中止・自粛が、芸能やスポーツに経済的打撃を与えていることは周知の事実。それに加えて制度的な困難に直面している。

オーケストラなどの文化事業は、公益法人が運営しているケースが多い。実演収入に加えて助成金や寄付金で経費を補うのが一般的。しかし寄付などは使い切りが原則で決まった額以上の“内部留保”は禁じられている。

脆弱(ぜいじゃく)な財政基盤は、コロナ禍で一気に赤字転落。2年連続で正味財産が一定額を下回った公益法人は強制解散となる。公益法人協会(東京都文京区)の雨宮孝子理事長は「コロナ以降、債務超過に陥る多くの公益法人は2021年度末には存続が難しくなる」と警告する。

具体名を聞くと、驚くような著名な実演家団体が名を連ねる。雨宮さんは解散猶予措置や、中小企業のコロナ救済策である資本性劣後ローンと同様な仕組みで公的資金を注入する必要性を訴える。

大手企業が社会貢献として運営する公益法人では不安は小さい。独立系法人ほど苦境に立たされる現状は、中小企業問題に通ずる部分がある。コロナを克服した時、社会から文化事業が消えていた―などという未来は、想像したくない。

(2020/11/26 05:00)

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