(2020/11/26 05:00)
新型コロナウイルスの感染拡大が新卒採用に影を落としている。企業は長い目で見た人材確保の戦略を考えるべきだ。
2021年春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日時点)は、前年同期比7・0ポイント低下の69・8%。リーマン・ショック翌年に次ぐ過去2番目の下落幅となった。
厚生労働省と文部科学省が共同で調べた10月時点の調査で、大卒予定者の内定率が70%を割るのは5年ぶり。業績悪化で採用を手控える大手企業が相次いでいる。感染防止のため多くの会社説明会が中止・延期になったり、通学する機会が減ったりしたことで、学生が就職相談などの支援を大学から十分に受けられていない例もあるという。
リモート、オンラインに切り替わった会社説明会、選考過程に戸惑う学生は少なくない。一方で、情報リテラシーが高い学生が就活を有利に進めているという現実もある。
企業側も採用を手控える動きばかりではない。リクルートワークス研究所が6月に行った調査によると、21年卒の大卒求人倍率は1・53倍。20年卒に比べ0・3ポイント低下ながら、リーマン・ショック時ほどの落ち込みではない。業種などに差はあるが、若い人材が足りない課題に変わりはないとの見方もある。
新型コロナの先を見据えて策を練る中小企業にとっては、大手が採用を控えようとしている現状は、新たな戦力を得る好機とも言える。技能継承に向け世代の壁を作らないためにも、長期的視点で採用を継続することが肝要だ。オンラインによる採用活動で、地方企業の地理的なハンディは減る。むしろ、地方移住を希望する若者が増加している状況では優位にも働く。
企業は既存メディアはもちろん、ウェブサイト、会員制交流サイト(SNS)などあらゆるチャンネルを駆使し、学生への情報発信を工夫してもらいたい。行政による企業と学生のマッチング支援も欠かせない。
第2の「就職氷河期」世代を作らないためにも、地方企業や中小企業が学生に積極的に働きかけてもらいたい。
(2020/11/26 05:00)
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