(2020/11/30 05:00)
新型コロナウイルス感染拡大に苦しむ企業が固定資産税の増加に圧迫されないよう、税制改正で確実な措置を求める。
年末に向けた税制改正の論議が活発化している。産業界の重点要望のひとつが、固定資産税の評価替えを先送る緊急措置の導入だ。
固定資産税は3年に一度、評価替えをして土地などの課税標準を決める仕組み。2021年度の税額は、コロナの影響が出る直前の20年1月1日が基準となる。
近年の地価は全国的に上昇傾向にあり、来年度の評価替えが負担増となるのは必至。駅前の商業地などは「2割程度の増になるケースもありそう」(不動産協会)という。コロナ以後、商業地の土地需要は低迷しているが、それが地価に結びついて固定資産税の減額に反映するのは3年以上先になる。
税額の増加は都市部の商業施設やホテルなど、コロナの影響に苦しむ事業者を直撃する。工場や倉庫など広い土地を持つ企業も、商業地同様に負担増となる懸念が大きい。
このため経団連や不動産協会はじめ産業界は、商業地などの来年度の固定資産税の評価替えを見送り、一定期間は税額を据え置く緊急措置を要望している。また地価の高い商業地にあっては、自治体の判断で課税限度額を引き下げることができる負担調整措置の継続を求めることも要望に盛り込んだ。いずれも住宅地については特例措置は求めない。
固定資産税は土地・建物の所有者の収益に無関係に課せられる外形型の税制だ。コロナ禍のような経済状況の激変にあっては、事業者を圧迫しないよう行政側が配慮する必要がある。負担軽減は特定業界を支援するものではなく、多くの事業者にとって恩恵となろう。
産業界の要望を受けて、政府・与党は税制改正でこの問題を議論することにした。ただ税収減に結びつくため、特例措置の幅や対象を制限する懸念もある。コロナを克服して経済活動を持続するためにも、幅広い事業者を対象とすべきだ。
(2020/11/30 05:00)
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