(2020/12/3 05:00)
足腰の強い中堅・中小企業の存在が、日本の国力を高めるために不可欠だ。
政府の成長戦略会議(議長=加藤勝信官房長官)は、経済政策の具体的な行動指針となる実行計画を取りまとめた。
その中で、日本の企業とりわけ中小企業の生産性の低さを指摘し、生産性向上につながる施策を示した。
法改正により中小企業が中堅企業へと成長しても、補助金や金融支援などを受けられるようにする。現行の中小企業基本法は中小企業の対象を製造業なら資本金3億円以下または従業員数300人以下などと規定し、そこからはずれた企業は中小企業向け支援の対象外となる。
資本金などの企業規模によらず支援が受けられれば、それまで規模拡大をためらっていた企業の成長を後押しできると考えた。中堅企業の重要性を認識し、支援の対象に加える考え方は評価できる。
また、中堅・中小企業の新規事業への進出や事業転換を支援する新たな補助制度も創設する。既存のものづくり補助金や持続化補助金、IT導入補助金なども継続させ、一体として企業の事業再構築を推し進める。中小企業が合併により規模を拡大させる際に税制上の優遇措置を設けることも検討する。
一方、新型コロナウイルス感染症で売上高が急減した中小企業や個人事業主を一律に支援する持続化給付金は、2021年1月で終了させる見込み。
支援の対象をコロナ禍で厳しい経営の中でも、事業再構築に取り組もうとする企業に集中させるわけで、政府のウィズコロナ時代の経済政策が転換期を迎えたとも見て取れる。
中小企業政策に関するこれまでの検討作業において、小規模企業の存在が生産性の低い最大の要因と決めつける乱暴な考え方も浮上していたが、今回の実行計画では「小規模事業者の淘汰(とうた)を目的とするものではない」と明確に否定した。
規模の大小で見るのではなく、自ら成長しようと変革に取り組む企業を応援する中小企業政策となることを期待したい。
(2020/12/3 05:00)
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