(2020/12/24 05:00)
日本のエネルギーの将来を考えるうえで、さまざまな電源を持つ意義を再認識すべきだ。
経済産業省は総合資源エネルギー調査会の分科会に、2050年の電源構成について、議論のたたき台となる案を提示した。「約5―6割を再生可能エネルギー」「約1割を水素・アンモニアを利用した火力」「約3―4割を原子力とCCUS(炭素回収・貯留)やカーボンリサイクル併用の火力」とした。
今後この案を元にコストや脱炭素の実現可能性などを踏まえ、複数のシナリオを設けて分析し議論を深めていく。
再エネを最大6割とする案は踏み込んだ目標となる。実現には洋上風力やバイオマスなど新たな発電分野の拡大に加え、送電網の増強、大容量蓄電池の開発など、さまざまな投資が必要になる。
火力発電について、自然条件で変動する再エネを拡大するための調整電源として引き続き重要であると位置付けたことは評価できる。ただし、CCUSやリサイクルを同時に進めなければ脱炭素化には逆行する。革新的な技術開発と海外との連携を加速させなければならない。
解せないのは、原子力について火力と含めて3―4割と、位置付けをぼやかしたことだ。国民の原子力を見る目は依然として厳しく、足元では再稼働もままならない状況にある。
しかし原子力は発電中に二酸化炭素を排出せず、準国産エネルギーとして位置付けられる。経済安全保障の視点から見れば、エネルギー自給率の拡大は最重要テーマであり、原発が日本にとってこれからも必要な電源であることは確かだ。
世界では米国、中国、英国などで原発の新型炉や安全性に優れた小型炉の開発が着実に進んでいる。日本は既設炉の運転延長でしのごうとしている。
50年の原発の位置付けを明確にし、既設炉から新型炉への置き換えを着実に進める方向を示すべきだ。既に日本の原発開発の人材やサプライチェーンは散逸の危機にある。困難でも目をそらさず、議論を進めてもらいたい。
(2020/12/24 05:00)
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