(2020/12/29 05:00)
2025年に開催される大阪・関西万博の基本計画が、日本国際博覧会協会から公表された。世界が新型コロナウイルスの感染拡大に直面する中だからこそ、「いのち」を多面的に考える機会としたい。
150カ国・25国際機関の参加を目指す同万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。新型コロナを乗り越えた先を見据え「大阪・関西万博は、いのちという原点に立ち戻り、自らと他者のいのちを意識し、自然界で生かされるさまざまないのちに向き合い、世界が持続する未来を模索する場となる」と、開催意義を計画に記した。
万博自体を「未来社会の実験場」とも位置づける。カーボンニュートラルや空飛ぶクルマなど未来社会を感じる次世代技術を会場で実証・実装する。デジタル技術を駆使し、会場にいなくても世界の人々が参画できるリアルとバーチャルが融合した新しい国際博覧会の姿を示す。
会場建設費は当初の1250億円が5割増しの最大1850億円に膨らむ計画だ。国と大阪府・市、経済界で各3分の1ずつを負担。経済界の負担分は従来の約400億円が約600億円に増えた。関西経済連合会の松本正義会長も指摘するが、万博は国家イベントのため、資金集めは関西財界だけでなく経団連などの協力も欠かせない。
感染症やテロ、防災の対策などリスク管理の徹底や、アクセス向上のため鉄道や海路など交通インフラも拡充が求められる。コロナ禍ゆえ、各国への招聘(しょうへい)活動も現時点で制約がある。
課題は尽きないが、万博の内容を考えるのはワクワクする。その象徴として万博で実現したいアイデア提案募集に1100件超が集まった。関西企業を筆頭に万博を自社の技術力や企画を試す場にとの意欲を感じる。
7月に選定された個性的な10人のプロデューサーにも期待したい。建設費の拡大要因の一つに、プロデューサーの意向で会場設計案の大幅変更があった。資金計画は上振れしないよう努めるべきだが、魅力向上にアイデア実現を妥協せず“とがった”万博にしてほしい。
(2020/12/29 05:00)
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