(2020/12/30 05:00)
洋上風力発電の大幅拡大は、広範な経済波及効果も期待できる。課題は多いが官民が連携し、普及実現へ踏み出したい。
政府は2050年の温暖化ガス排出量実質ゼロと経済成長の両立を目指す「グリーン成長戦略」を策定した。
発電に占める再生可能エネルギーの割合を約50―60%に拡大させる。その切り札として位置付けたのが、洋上風力発電だ。目標では洋上風力の発電能力を30年までに1000万キロワット、40年までに3000万キロ―4500万キロワットに拡大する。大型の火力発電所に換算すると30基分以上に相当する。
「政府の目標設定により投資予見性が立つ」(大手電機メーカー)と産業界は歓迎する。洋上風力はタービンだけでも数万点に及ぶ部品で構成され、日本のモノづくりの強みを生かせる。風車の組み立てから基礎部分の設置工事など、サプライチェーンの構築が欠かせない。
設備管理のための港湾整備や専用船建造、送電線製造、保守など関連産業の活性化も見込める。洋上風力発電の導入量は20年9月現在、商業運転に限ると約4500キロワット(2カ所)にすぎないが、日本風力発電協会は30年までに1000万キロワットを導入すれば経済波及効果は13―15兆円程度になると試算する。
課題は低コスト化だ。日本は遠浅の海が少ないため、浮体式という新技術の確立がカギとなる。発電の適地とされる北海道や東北、九州から、需要地の首都圏や中部・関西圏まで送電するための連系線の増強も必要になる。これらの課題を乗り越えるには、国による強力な支援が不可欠だ。
司令塔になる官民連携の推進組織をつくり、生産体制の整備や人材育成を効率的に進める必要がある。また、立地促進には環境調査や利害調整がスムーズに進む体制整備も重要だ。時間とコストのムダを省き、投資予見性を高めなければならない。
日本で導入が進めば、東南アジアなど海洋条件が似た地域での普及も期待できる。グリーン成長戦略の成功事例となるよう、官民の力を集結させたい。
(2020/12/30 05:00)
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