(2021/1/4 05:00)
ウィズコロナ時代が続くことも想定し、企業は脱炭素、デジタル化の実行へ踏み出してもらいたい。
2021年の日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の両立により、緩やかな回復基調をたどる見込み。
ただ、感染拡大の勢いは衰えず、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県の知事が政府に緊急事態宣言の再発令を要請するなど、先行き不透明感は拭えない。
GDP(国内総生産)の約60%を占める個人消費は、雇用不安や所得の減少に加え、感染拡大による消費意欲の減退で、伸びは低調に留まりそう。
一方で、輸出はIT需要の改善や自動車販売の好転を背景に、米国、中国向けを中心に緩やかに回復する。しかし、年間3000万人を超えていた外国人観光客の激減で失われた約5兆円のインバウンド消費額(サービス輸出)の回復は難しい。
収益の低迷で企業マインドが冷え込み、足元の設備投資は伸び悩み気味。コロナ禍の影響が大きいサービス業は特に投資見送りや先送りの傾向が続く。しかし、鉱工業生産が回復しているほか、テレワーク対応で情報化の需要増が予想される。
コロナ禍が今年の日本経済への重しになり、低成長は避けられない。政府は実質GDPを前年度比4・0%増と予想するが、楽観的と言わざるを得ない。
日刊工業新聞社が実施した景気定点観測によると、経営者の60%が国内景気は21年上期に「拡大する」または「緩やかに拡大する」と回答。さらに同下期はこの比率が77・5%に上昇、景気回復に明るい見通しを持っていることが分かった。
コロナ感染の行方や中国、米国経済の影響次第ではあるが、経営者が先行きに前向きな気持ちを持っているのは心強い。
グリーンイノベーションやデジタル変革(DX)など、取り組むべき方向は見えている。厳しい経営環境の中にも、一歩を踏み出してもらいたい。
感染収束で世界経済の様相は一気に好転する。成長の機会を逃さないためにも、投資を惜しむべきではない。
(2021/1/4 05:00)