(2021/1/6 05:00)
新型コロナウイルス感染症の収束をにらみつつ、経済連携の拡大を志向したい。
2021年の日本の通商・外交にとって最大の外的要因は、バイデン次期大統領の就任に伴う米国の政策転換である。残念ながら環太平洋連携協定(TPP)への米国復帰は、一筋縄ではいかなそうだ。それでもトランプ政権の強硬な“米国第一主義”に比べれば、常識的で柔軟な交渉ができるだろう。
米中関係の変化も注視しなければならない。中国の台頭をけん制し、米国の利益を最大化しようという姿勢はバイデン政権になっても変わるまい。ただバイデン氏は関税競争のような手法には否定的。競争と協調を取り混ぜた戦略で、中国の不透明な政策を徐々に変えさせていくとみられる。
これに関連するのが、10年間余の交渉を経て20年11月に合意した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)である。もともとRCEPは、日中が東アジアの主導権を争う構図。しかし日本が中国のけん制役として期待したインドの参加見送りによって、中国の影響力が強まる結果となった。中国はTPPへの加盟も模索する。
貿易自由化比率の高いTPPは、日米双方にとって中国と対峙(たいじ)する有力ツールとなる。同時に中国経済を、より国際ルールに近づける圧力にもなる。日本はこうした視点で米国と足並みをそろえ、米国のTPP復帰を促すべきだ。それは長期的に、過度の軍事傾斜で世界のパワーバランスを揺るがす中国の国家戦略の是正につながる。
解決方向が見えないのが、韓国との関係だ。韓国内からは歩み寄りを求める声も出始めた。しかし日本としては韓国の国際法違反は許容できない。日本企業に被害が及ばないよう、原則に忠実な外交交渉が望まれる。
世界の通商関係にとって、目下の最大の課題はコロナの克服だ。英国で確認された変異種の急速な感染拡大で、多くの国が再び国境を閉ざした。一方で夏までにはワクチンの効果も出てくるはずだ。ポスト・コロナに向けた準備が必要だ。
(2021/1/6 05:00)
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