(2021/1/7 05:00)
企業の新卒採用は、就職氷河期を教訓に、社員の年齢構成に歪みが生じないようにしたい。
2021年の新卒採用は、新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化の影響から、企業側に慎重な姿勢が強まりそうだ。ただ、就職氷河期のような急激な採用抑制は起こらないとみられる。
コロナ禍を追い風に、好業績が見込まれるIT業界や、売り手市場の時期に採用難に苦しんだ中小企業では、積極的な採用を計画するところもある。このため全体としては底堅い展開が予想される。
リクルートワークス研究所のアンケートからも、そうした傾向が読み取れる。企業の新卒採用の方針(22年卒大学生・大学院生対象)は「毎年同程度の人数を採用する」が47・3%とほぼ半数に達している。
企業が大幅な採用抑制を避けようとしているのは、一部の年齢層が極端に少なく人員構成の歪みを生んだ就職氷河期の反省がある。リーマン・ショック時急激に採用を絞った企業では、若手の育成やプロジェクトリーダーの役割を担える中堅社員の不足に頭を痛めている。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、就職活動の対象者が最も多い22歳人口は、10年代に横ばいを続けてきた。だが22年入社以降は減少傾向に入ることから、22年入社の採用時期にあたる21年は、内定者の確保が徐々に難しくなる「『21年問題』の入り口」(遠藤裕基浜銀総合研究所主任研究員)になりそうだ。
コロナ禍の収束が見通せない中では、オンラインと対面の長所を組み合わせたウィズ・コロナ時代の採用手腕が問われる。工夫を凝らしたインターンシップや会社説明会で学生の「共感」を呼び、自社に必要な人材を取りこぼさないようにしたい。
コロナ禍が収束すれば、新卒人口の減少が強く作用するようになり、再び売り手市場になる可能性が高い。なるべく足元の景気動向や業績に左右されることなく、中長期的な視点から計画的に採用を進めることが、持続的な成長には肝要だ。
(2021/1/7 05:00)
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